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最後の朝餉

 最後の晩餐といいますか、 死ぬ前、最後になにを食べたいか、なんてことを話しますよね。

 ぼくにもあります。ただし、ぼくの場合は朝食。つまり、最後の朝餉。

 ぼくがいま想像する最高の死に方は……
 海の近くの大きな温泉旅館に泊まり、夜は魚介を肴にしこたま酒を飲み、いつのまにか就寝。翌朝早くに目を覚まし(ぼくは酒を飲むほど目覚めが早くなる)1時間ほど風呂につかって酒を抜く。風呂上がりに缶ビールなんか飲んでもいいかも。そしていよいよ朝餉。

 宴会場でのバイキング。かためのごはん、豆粒のような梅干し、赤味噌っぽいみそ汁、小ぶりな焼き鮭、もしくはサバ塩、四角く成形された玉子焼き、赤いウインナー、薄味のグラタン、ついつい食べたくなる焼きそば、なぜここで八宝菜、野菜も食わなきゃとミニトマト……

 特別うまいものはありません。でも、そのぶん心からリラックスできます。はだけた浴衣の隙間からイチモツがひょっこり顔を出すぐらいリラックス。

 ごはんは2杯おかわりして(焼きのり、浅漬け)食後にコーヒーを飲んで、あー食った食ったと部屋に戻ります。

  腹はふくれたし、早起きしたしで、当然眠くなる。コーヒー1杯ぐらいでは抗えない眠気です。かといって、本格的に横になるつもりもありません。窓際の椅子に腰掛け潮騒をききながら、うとうと。睡眠というのは、このうとうとがいちばん気持ちいいんです。完全に眠りに落ちたら、気持ちいいなんて感じられませんから。

 そうこうしてるうちに、死ぬんです。


 まあ、そうこうしてるうちに死ぬような健康状態のひとが、そんな気軽に温泉入ったり、飯食ったりできるのか、とは思いますが、あくまでも理想だからいいとしましょう。

  ただ、この死に方には大きな問題がひとつあります。それは、以後その部屋は「いわくつき」の部屋になってしまうということです。死人が出た部屋に泊まりたいというひとはなかなかいません。そういう部屋を抱えることは、旅館にとってかなりの損害でしょう。それは申し訳ない。

 この問題を解決する方法はないだろうかと考え、思いつきました。そうです、もともと「いわくつき」の部屋にぼくが泊まればいいんです。そうすれば、ぼくが死んでも「いわくつき」の部屋が増えることはありません。もっとも、「いわくつき」の部屋でぼくが死ぬと、その「いわく」はかなり強烈な「いわく」にバージョンアップする可能性は高いですけど。

 ま、ぼくが成仏できなくても、なるべく迷惑をかけないようにしたいと思ってますので、ぜひ「いわくつき」の部屋に泊まりにきてくださいね。
てきにき | 2011.02.09 Wednesday 10:36 | comments(5)
コメント
俺は「刺身」かな?
マグロのトロなんて、あまり量は食べられないけど
死ぬ前から何とかガマンして食べるかな?(笑
ヒラメやフグの「白身」が好きです

焼き肉もステーキもいいけど
逆に「貧しい」という気がします
2011/02/09 9:07 PM | エンタ
「最後」となるとつい
「豪華な夕食」を想像しがちですが
「朝食」って確かにいいですね。

私も、炊きたてご飯に
だし巻き(大根おろし付き)
納豆と味付け海苔(薬味は控えめ)
なめこと豆腐のお味噌汁
がいいです。

食後にお茶を一杯いただいて、コロリと。

2011/02/09 11:02 PM | 豆野
>エンタさん
ぼくはコレステロール値が高くて、魚卵や白子を食べられないので、死ぬ前ぐらいは思う存分食べたいかな。食べておいて死ななかった困るけど。いや、どっちにしても死ぬからいいのか。

>豆野さん
陽気のいい日に、縁側でお茶をすすりながらポックリいくのもいいですね。
2011/02/10 5:14 PM | にぎりこぷし
つまり、こういうホスピスがあればベストですよね。

「いわくつき」なんてことを気にしなくていいし、
毎日これをやって、目が覚めるたびに、
「あ、まだ生きてた。じゃあ今日も1杯」
てな具合に。

2011/02/11 12:36 AM | 由野高根
年をとったら、こんな感じのゆったりした生活になるんでしょうけどね。問題は年金がどうなってるかだな……。
2011/02/12 7:43 AM | にぎりこぷし