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14年ぶり(後編)

 2010年9月19日「14年ぶり」のひとゴマ+(プラス)の続きです。前編はこちら

 朝5時起床。まだ夜は明けていない。川辺ということもあり、あたり一面もやの中。眠りに落ちたのが夜9時頃だったはずだから、約8時間ほぼ熟睡した。もう眠くないので、夜が明けるまでただ白くて暗い世界を眺めていた。

 5時半頃になると、ずいぶん明るくなった。せっかくなので川のすぐそばまで行って食事をとることに。コンビニのパンと自販機のコーヒーの朝食は約1分で終了。川の向こう、少し行った先に熊野本宮大社の鳥居が見える。きょうはまずあそこへ行く予定だ。

 そのまま川を眺めていると、岸に黒い影が動いているのが目に留まった。10頭前後の動物の群れのようだ。はじめはクマかと思った。熊野だけに。しかし、 クマがあれだけの群れで行動することはまずないだろう。サルか野犬か……。とにかく近づいてみないとわからない。職業病ともいうべき好奇心で、ぼくは群れに向かって歩き出した。

 ほどなく群れのほうもぼくの存在に気づいたようで、山に向かってゆっくりと歩き出した。列の最後尾の1頭が立ち止まって、こちらを向いて警戒しているのがわかる。ぼくの目からはまだそれは小さな黒い点でしかない。群れは山の中に姿を消しはじめた。ぼくがさらに近づくと、最後の1頭が「キョッ」という声をあげて山へ消えた。その瞬間、真っ白い尾がはっきりと見えた。

 どうやらシカの群れだったよう だ。群れは「キョッ、キョッ」という警戒の声をあげながら、崖のような険しい山を登っていった。すみませんねえ、優雅な朝のひとときをジャマして。奈良公園に行けばシカはウジャウジャいるが、山で暮らす野生のシカはやっぱりひと味ちがう。なかなかいいものを見た。

(※結局シカの姿はカメラにはおさめられなかった)

  そうこうするうちに、すっかり夜は明けていた。道が空いているうちにのんびりと走りたい。すぐさま荷物をまとめる。朝もやのせいでテントは湿っているが、 まあこれは帰ってから干したらいいだろう。20分ほどで準備完了。6時半、熊野本宮大社に向かって出発。そして、5分後には神社の前にいた。近い。

  熊野本宮大社はもともと川の中州にあったそうだ。明治時代に洪水で流され、いま建つ山の上に移ったという。ちなみに、その洪水で被災した十津川村の住民が北海道へ移り住み新十津川村をつくった(以上、Wikipediaの情報より)。新十津川村はぼくの両親の出身地に近く、馴染みのある場所。不思議な縁を感じる。

 バイクを置き、階段をのぼってゆく。階段は右側通行、真ん中を歩いちゃいけないとの注意書きがあった。

 神門を抜けると、3棟の社殿が現れる。明治につくられたわりには趣があると思ったら、これら社殿は洪水での流失を免れたため、もともとあったものが移築されたのだそうだ。屋根の修復工事中で全貌を見られなかったのが残念。

 まだ朝もやの残る国道168号線を新宮方面に進む。相変わらず川沿いの気持ちのいい道。もうこの時間から釣りに興じているひとたちがいる、物好きだなあ(ひとのことは言えない)。

 169号に折れ北上する。狭くて暗い山道を「これほんとに国道か?」と不安になりつつ進む。ときどき対向車には出くわすが、幸い前走車につかまることはなく、気分よし。長い瀞峡トンネルを抜け、左へそれて瀞峡のビュースポットへ向かう。

 絶景なり。まるで山水画のよう。川原に座ってしばし景色を眺める。

 手を伸ばし水に触れる。……ぬるい。こういうときは、ひんやり冷たいほうが気分が盛り上がるのにぃ。

 ふたたび169号に戻り、あとはひたすら走る。いったん309号に入り、また169号。もう一度309号で天川村のほうへ向かうルートも考えたけど、まあいいやと、川上村のほうへ向かう。

 道は空いていて、川だー、ダムだー、素彫りのトンネルだー(暗くてこわい)と興奮しながら快適に進む。早起きしてよかったぜー。

  そうこうしているうちに山道終了。吉野山のふもとまでやってきた。ここまで来たら、金峯山寺にも寄っておこうと、また山をのぼる。金峯山寺で日本最大の秘仏、金剛蔵王権現像が特別ご開帳されているのだ。デカくてカラフルで かっこよくてかわいい仏像でしたよ。

 時刻はちょうど正午。参道の店で柿の葉寿司を買って、駐車場のベンチで食う。尻が痛い。肛門がすれてヒリヒリする痛みだ。山道の過酷さをしみじみと尻で感じる。吉野の山の中で肛門という一点と向き合う。修験道の一端に触れられた気がする。

 山を下り、ガソリンを補給。計算すると27km/l。以前、淡路島を1周したときには30km/l以上だったから、やっぱり山道はガソリンを食うな。来たときと同じ310号、309号で無事帰宅した。


 というわけで、振り返ってみると、ただただ大急ぎで駆け回っただけの2日間だった。地図を見返すと、あっちへ行けばよかった、こっちも見たかったと思うことしきり。準備がちょっと足りなかったな。まあ、また機会があれば、今度はゆっくり回ってみよう。その機会がいつ訪れるのかは定かではないが……。
ひとゴマ+(プラス) | 2010.09.23 Thursday 05:04 | comments(4)
コメント
いつも楽しく拝見させて頂いております!

熊野へお越しになられてたのですね!
実は私、熊野本宮大社のふもとで暮らしております。もしかしてすれ違ってたんかも…?

虫の音、熊野川の朝もや、野生の鹿と、吉野熊野を濃厚に満喫されたようで何よりです。また季節が変わると違う眺めも楽しめますし、今回断念された高野龍神スカイラインのツーリングも最高ですので、ぜひぜひまたお越し下さいませ。

遠く熊野山中より応援しております!
2010/09/23 4:04 PM | Blueskyguesthouse
おお、熊野のお宿ですか? いいですねえ。

できることなら毎週でもこんな旅をしたいんですけどね。また近いうちに行けるよう画策してみます。
2010/09/24 5:36 AM | にぎりこぷし
初めまして!! にぎりこぷしさんと同じ道産子のベネと申します。いつも楽しく読ませていただいてます♪

バイクでのツーリング、楽しそうですねぇ!! 読んでると僕もやってみたくなります(笑
ただバイクがないので、もっぱら愛車のクロスバイクでのサイクリングで我慢してます。

いつかは北海道1周とかやってみたいですね。

それでは!!
2010/09/26 12:31 AM | vene
輪行なら自転車のほうがバイクよりよっぽど遠くまで行けますね。やってみたいことは若いうちにとっととやらないとダメよ。
2010/09/26 1:45 AM | にぎりこぷし