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14年ぶり(前編)

 2010年9月19日「14年ぶり」のひとゴマ+(プラス)です。2回に分けてお送りする予定。



 お盆に高野山へツーリングに行ったときに、いつかこの先の十津川や熊野のほうまでキャンプツーリングで足を伸ばしたいなあと思ったのだが、わずか1ヶ月でその機会がやってきた。妻が連休にこどもを連れて実家に帰るというので(別に喧嘩したわけじゃないよ)、こりゃ行くしかないべと。
 バイクにテントと寝袋をくくりつけて出かけるキャンプツーリングはじつに14年ぶり。19歳でバイクの免許を取り、翌年、大学3年の夏に1週間かけて北海道を1周、約2000キロを走った、そのとき以来である。バイクもテントも寝袋も、それらを縛るロープまでもそのとき使ったものそのままなのだから、物持ちがいいというか、成長がないというか……。

 そんなわけで、いささか童心に戻りつつ、わくわくしながら当日を迎えた……のだが、興奮がわざわいしたのか、前日仕事が片づいていないにもかかわらず飲み過ぎて朝起きたら二日酔い。とにかく仕事をせねばと吐き気に耐えながら机に向かい、昼過ぎになんとか終わらせる。おかげさまで体調もすっかり快復。

 そこからすぐに荷物を用意して、出発の準備が整ったのが午後1時半。キャンプは熊野本宮大社の近くで張る予定だったが、時間的にけっこうギリギリでは……。一瞬、今回は中止してまた時間のあるときに、とも思ったが、まあダメならどこか別のところでもいいし、最悪引き返してきてもいい、行くだけ行ってみようと出発。

 国道309号で富田林、170号から310号に入る。ここから五條までは森の中をくねくねゆく細い山道で、大阪市内から気軽に行ける範囲のなかでは1、2を争う気持ちのいい道ではないだろうか。途中、視界の開ける場所があり、高野山方面がきれいに見える。

 高野山を登って護摩壇山、龍神のほうへ向かうルートも捨てがたいが、今回は時間がたりないので断念。五條でガソリンを補給して、168号で十津川方面へ。進むにつれて道がだんだん狭くなっていく。交通量はさほど多くないが、道が狭いので1台遅い車がいるとつかえてしまう。信号はほとんどないが、ときどき工事で片側交互通行の箇所があるので、それを利用して前に出る。

 そうこうしているうちに、この日いちばんの見所であろう、谷瀬の吊り橋が前方に現れた。国道を左にそれて進むと、吊り橋のすぐたもとがバイクの駐輪場(無料)になっている。この橋の全長は297メートル、高さが54メートル。下はもちろん川で、川岸はキャンプ場になっている。

  高いところは別に苦手じゃないので渡ってみることにする。これまた無料。強度の問題で一度に20人しか乗らないということに名目上はなっているそうだが、 実際には100人ぐらい乗っている。大丈夫か? 乗ってみると、下は板張りでそのまわりが金網、横のワイヤーも高くて、落ちる心配はなさそう。

  ははは、谷瀬の吊り橋おそるにたらずと、ずんずん進むと……揺れる。揺れるぞ、おい! 足を出すたびに振動で縦に揺れるのではない、横にゆ〜らゆ〜らと揺れているのだ。まるで長〜いブランコを渡るような感覚。しかも、だれかが悪意をもって揺らそうとしたら、とんでもなく揺れそうな、そんな気がする。

 10メートルほど進んだところで引き返し、バイクにまたがり、いざ出発。先を急ぐので!

 このあたりで時刻は午後4時ぐらい。暗くなる前にテントを張ってしまいたいので、なんとか5時にはキャンプ場に着きたいところ。時間と前を遮る車が気になり、景色はあんまり楽しめませんな。比較的川沿いを走ってた気がします(なんだこのあいまいな記憶)。

 やがて、この日もうひとつの見所、野猿が近づく。野猿は川を渡る人力のロープウェイのようなもの。川を渡る系はさきほど堪能したのでと、あっさり通過。先を急ぐので!

 ここまでくると、キャンプ場のある本宮町まではあと一息。深い山の合間を流れる川は緑のような青のような不思議な色をしている。心が洗われるなあと思ったり、前の車が邪魔だなあと荒んだり、人間て勝手ですね。

 ようやくキャンプ場の看板が見えたのが午後5時20分頃。まだ日没には至っていない。対岸にそのキャンプ場が見える。川原にテントが4つ5つ。ずいぶん空いているようだ。料金はバイクの持ち込み含め1600円。少々高いが、温泉があるのでここにした。

 川原のエリアは家族連ればかりで、こどもたちが元気に遊んでいるので、少し離れた芝生のエリアに陣取ることに。以前、家のベランダでもテントを張ったので慣れたもの。5分ほどで小さいながらもわが家が完成。そばの階段に腰掛け、コンビニで買ったパンとビールでささやかな夕食。七輪を持ってきて、イカでもあぶりながら一杯やりたかったのだが、今回は準備が間に合わず断念。次回はアルコールバーナーぐらい用意したいですな。

  あっという間に日は暮れて、大音響の虫の音がこどもたちの遊び声をかき消す。施設内にある温泉につかったあと、テントの中に寝転がり(中では立てないからね)、ホタテの貝ヒモをしゃぶりながらふたたびビール。少し本を読み、少し音楽をきき、少し人生について考え、少しきょうも飲み過ぎたと反省して、眠りに 落ちた。(つづく)

 14年ぶり(後編)
ひとゴマ+(プラス) | 2010.09.22 Wednesday 11:11 | comments(0)
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